昭和の時代「香典」は、葬儀の費用も含めて「遺族を経済的に援助する」という大きな役割も担っていました。
令和の現在、死亡者の割合は高齢者(65歳以上)が80%を超えていますが、かつて昭和30年(1955年)では、非高齢者(64歳以下)が60%近くあり、香典は働き手を失った遺族をみんなで支える仕組みだったのです。
そういう中で香典返しは、「弔問者の厚情に対する感謝のしるし」として、49日に贈るという習慣が平成の時代にも定着してきました。
いま、香典返しの方法には賛否があるとしても、弔問者から故人へのお供え物「香典」は謹んでお受けしたいものです。
お通夜・お葬式の会場で 「香典返し」 を配るやり方を葬儀会館の方からすすめられたのですが、良くない方法でしょうか?
弔問者に対して、礼儀をつくせる方法ではありません。
人は皆、死後7日ごとに生前の罪を裁かれ、7週間(七×七日)後の49日(忌明け)に遺族の祈りが閻魔大王に届けば、その人は極楽浄土に行ける・・・6世紀に仏教が伝来して以来、日本ではこう信じられてきました。
仏教で49日は、遺族にとっても弔問者にとっても大切な日なのです。
この特別な日に、葬儀に弔問してくださった方に感謝の気持ちを伝えることが「香典返し」ですが、 "当日返し" では ≪仏教の教え≫ や ≪感謝の気持ち≫ が忘れ去られて ただ単に品物や商品券を渡すこと がひとり歩きしていると言えます。
"当日返し・即日返し" が 弔問者に対して失礼 な実態2例
【事例1】ある葬儀会館では、葬儀の受付と引換えに香典返しを渡す目的で、芳名カードに弔問者自身の香典金額を書かせることを強制しています。これで弔問者の気持ちを大切 にしていると言えるのでしょうか。
【事例2】別の葬儀会館では、受付で弔問者に ≪香典返し引換券付パンフレット≫ を配布し、弔問者は読経中にパンフレットの中から商品を選び、出口の景品交換所カウンターに並んで、商品を受け取って退出する方法をとっています。これが、遺族と弔問者の双方に礼儀をつくしたサービスなのでしょうか。
【1.香典を辞退して受け取らない】
近年増加傾向ですが、「故人に香典をお供えしたい」という、弔問者の気持ちまで拒絶してしまうデメリットがあります。
【2.香典は受け取るが、香典返しの予定金額を 49日に故人の名前で公益団体などに寄付する】
普段の生活では、積極的に寄付をする機会はないけれども、香典返しの品物を受け取る代わりに、ささやかな社会貢献ができるなんてすばらしいと考える弔問者も多いのではないでしょうか。
日本赤十字社の、≪社会福祉ボランティア支援プログラム≫
ユニセフ(国連児童基金)の、≪アフリカの子どもを救う支援ギフト≫
あしなが育英会の、≪親を亡くした子どもを支援するプログラム≫
【3.香典を受け取り、弔問者それぞれに対して49日に香典返しを贈る】
以上、"当日返し・即日返し" に頼らない「香典返し」の方法を3種類提示しましたが、あなたの選択は自由です。
次の≪アンケート結果≫も参考にして、ご自身で考えてみてください。
■お葬式と香典返しに関するアンケート結果
三重県ギフト小売業協会では、インターネット無記名アンケートを実施して、全国・すべての年齢層の方から、「お葬式と香典返し」についてのご意見を頂だいしました。
2015年5月実施 アンケート結果(無記名)PDF
お葬式と香典返しに関するアンケート
回答総数2636名のうち、90名の方が自由記述回答をお寄せくださいました。
データ : ボイスノート・アンケート
2015年4月実施 アンケート結果(無記名)PDF
お葬式における香典に関するアンケート
回答総数4647名のうち、67名の方が自由記述回答をお寄せくださいました。
データ : ボイスノート・アンケート
神道・キリスト教・イスラム教・無宗教では、お返しの時期や香典礼状はどうすればいいのでしょうか?
仏教にならって、お返しは49日ごろと考えるとよいでしょう。
キリスト教などには49日(忌明け)の観念がないので、その時期に特別な意味はありませんが、神道が「50日祭」と呼ぶことから、日本国内においてはキリスト教・イスラム教をはじめ、いずれの宗教・信仰でも、49日前後にお返しするのが自然です。
また、弔問者が故人の冥福を祈る気持ちと、遺族が弔問者に感謝する気持ちには宗教・信仰による差はありませんが、香典礼状は宗教・信仰により、それぞれ特徴的な文面になります。
くわしくは、「香典礼状・カード・のし紙」のページをご覧ください。
入院中にお見舞いに来てもらった方へのお礼は、退院すれば「快気内祝」だと聞きますが、亡くなった場合はどうすればいいのでしょうか?
元気になって退院しました →【快気内祝い】
内祝ギフトになります。のし紙は、"再び起こってほしくない祝い事" を表す、紅白5本結び切りの水引に、〔 快気内祝 ≫I 山田一郎 〕 と表記するのがよいでしょう。
オリジナル文面のメッセージカード を添付することができます。ハガキサイズで、色は イエロー と ブラウン の2色です。
願いかなわず永眠いたしました →【お見舞返し】
仏事のお見舞返しになります。のし紙は、黒・白結び切りの水引に、〔お見舞御礼 ≫I 山田一郎 〕 がよいでしょう。
オリジナル文面のメッセージカード を添付して、香典返しとは別の品物を49日に贈る方法です。次項の、香典返しの品物に既定文のカードを同封する方法よりも丁寧です。
生前のご厚誼を感謝します →【香典返しに同封】
香典返しの品物に添えて、香典礼状といっしょに包装して贈る場合に使う、既定文の「お見舞ありがとうカード」です。
法事用カードの詳細・基本文例